「KiCad入門ハンズオン」を4回ほど行いました。
https://connpass.com/search/?q=KiCad入門ハンズオン
スポンサー無しの自主講座として行いました。

実施目的は「メーカーズ支援」です。
私は運良くメーカームーブメントに乗って各所で多くのメーカーズと交流し楽しい体験をしています。その、交流の中で「基板設計CADを使えるようになりたい」という話を度々聞くことがありました。私は技術教育の専門職で工業高校の先生向けに基板設計CADの講座などをやっていましたので「メーカーズ向け基板設計CADの講座への需要があるならやってみるか」ということで実施しました。

実施にあたっては次のことを念頭におきました

  1. 確実に技術・技能が習得できるガチな講座とする
    必須内容:回路図入力、レイアウト設計、面付け、ガーバー出力
  2. 無料講座とはしない
    提供側(自分)「無料だから、こんなもんでイイか」と妥協しないように。
    受講側「受講費払ったんだから回収しなくては」と講座に取り組んでいただくために。
  3. 絶対に赤字にならないようにする
    継続性を確保するために必須。
    必要経費(会場使用料、機材レンタル料、実習テキスト印刷製本費、実習テキスト原稿制作費、交通費など)を確保する。

1については過去の工業高校教員向け研修と高校での実習授業ノウハウを使って教程の編成と実習テキストの作成を行いました。
2,3については参加費(受講費)の設定が難しかったです。
ポリテクセンターなどの公共技術教育機関やCQ出版等の私企業提供技術セミナーでの類似の講座の受講費の相場は定員20名程度の1日(6時間)コースで約2万円です。講師報酬、広報・運営費、教材費、収益を考えれば妥当な金額です。
自分周辺で需要調査をすると受講費5千円以上は参加希望なし、3千円〜5千円需要僅少、3千円未満で需要それなり と出たので2000円程度にしました。

受講費一人あたり2千円程度で赤字にならないように具体的な講座運営を考えて企画を立てました。
安価に講座提供できるのは自作自演(教程と教材作り、講座運営、当日の講師とすべて一人で実施)ならびに収益を求めない方針だからです。収益を求めないといっても赤字ではダメですから必要経費+αの金額が回収できる算段はしました。

初回は、想定した教程と新たに書き起こした実習テキストの妥当性を確認する試行講座となるため受講費500円で実施しました。初回で得た知見から教程と実習テキストを修正・改編し2回目からは当初予定の2000円程度の講座としました。

受講費が市価相場の10分の1の講座ですが、その内容は類似講座の内容を凌駕しているものと自負します。

講座内容

  • KiCadの準備
  • 回路図入力
  • アノテーション
  • フットプリント割付
  • ネットリスト出力
  • デザインルール
  • 配置配線
  • 自動配線(FreeRouting.jarを使用)
  • 配線修正,押しのけ配線
  • 面付け
  • ガーバーデータ,ドリルデータ出力
  • 基板発注ファイル編成(FusionPCB,スイッチサイエンスPCB他向け)
  • 基板発注(操作演示)

実習テキストには上記の講座内容に加えて、部品ライブラリに関することや回路図入力やレイアウト設計のTipsを記載しています。

講座を作るのは、電子回路をはんだ付けして作ったりプログラムを書いて動かすのと同じくらい面白い作業です。
言い方が悪いですが、受講された方が教程にうまくハマってスキルを獲得されて行く状況は、作ったマイコンプログラムが狙ったとおりに稼働するときの嬉しい感覚と全く同じです。