真空管増幅器


フリーで提供されている, LTspice/SwitcherCADを用いて真空管増幅器のシミュレーションを試みた。


LTspice/SwitcherCAD靴離轡潺絅譟璽織┘鵐献鵑SPICE3なので,「Ayumi's Lab.」にある真空管やトランスのライブラリ(SUBCKT)が使える。
 「ベルが鳴る」とか「回路シミュレーターWiki」を参考にしてLTspice/SwitcherCAD靴膿振管のシミュレートができるように環境を整えた。

それでは,実際にLTspice/SwitcherCAD靴鮖箸辰篤麋氏の設計・製作による6BM8シングルアンプをシミュレートして見る。

なお,二尾氏は当時高校生で,電子管工学(濱田成徳,和田正信:コロナ社),電子回路機陛典つ命学会編:コロナ社),電子回路機銑掘弊郛綫妓:共立出版)などの昭和40年代の古い技術書を読破してゼロから回路設計し製作したものである。

下が回路図である。 出力トランスは実際の回路では,普及品の出力トランスを用いているが,シミュレーション回路では「タムラ F-2003」というHiFiオーディオ用超高級品 を用いている。これは,実機の普及品出力トランスの特性を測定してSPICEモデル(SUBCKT)を作るのがメンドクサイという横着な理由からである。
6BM8とF-2003のSPICEモデルはAyumi's Labからダウンロードした。


図1


AC解析した結果である。実線が周波数特性で0dB=1V,破線は位相特性である。
実際のアンプでも低域のゲイン不足が感じられたが,シミュレーションでもその傾向が見える。
出力トランスF-2003はかなりフラットなf特のようだ。さすがにHiFiオーディオ用だけのことはある。


図2


 二尾氏は,下の回路のように負帰還をかけて特性改善をはかった。


図3


負帰還をかけた回路をAC解析した結果である。
図2と比べると,劇的に周波数特性が改善されていることがわかる。
しかし,実際の回路では普及品出力トランスのf特性が悪いため,これほどまでの特性改善は見られなかった。


図4


特性グラフを並べて比較して見る。上が負帰還なし,下が負帰還あり。 負帰還の威力はスゴイもんだ。


図5


図3の回路図のRNF(負帰還量を決める抵抗)を色々変えてシミュレーションすると,周波数特性が面白いように変わる。

次の図は,負帰還をかけたときの初段の周波数特性(緑)と全体の周波数特性(青)を並べたものである。
初段が負帰還をかけられて,低域と高域でがんばっている様子がわかる。


図6


 次は,過渡解析を行う。入力は 1Vp-p 1kHz の正弦波である。 出力もきれいな正弦波に見えるが,フーリエ解析して高調波の様子を見る。


図7


フーリエ解析の結果である。2次高調波,3次高調波のピークが見える。いづれも,-20dB以下で問題になるレベルではない。逆に,2次高調波によって音が柔らかくなるとも言われている。


図8



 このようにしてシミュレーションして見ると,どこをイジればどうなるか手に取るようにわかる。 しかし,シミュレーションはあくまでも仮想現実。最後には実機に当たって確かめなければ意味はない。

 普及品出力トランスの特性を測定してSPICEモデルを作り,実機に近い要素でシミュレーションし改善策を探れば,結構良いところまで回路を追い込めるのではないかと思う。

ということで,使用トランスのSPICEモデルを作成してシミュレートしてみた。

しかし,フリーの回路シミュレータでここまでできるとは思わなかった。 


[もどる]          [次のページ]