こんにちは,Kimio Kosaka です。  Arduino Diecimila に出合ったのは今年(2008年)の5月のことです。  娘の彼氏がペンシルバニアから我が家に遊びに来たとき,その彼から プレゼントされました。「小型版Wiringか?」と問うと「Arduinoです。 フィジカルコンピューティングでは今はこっちが主流です」と言う。  さっそく使って見る。面白い。 ハードから開発環境まで一切がオー プン・ソースというのも大変に気に入った。  どんな回路なのかArduino.CCから回路図をダウンロードして眺めて見 た。素直な設計である。  Diecimilaの実物と回路図・パターン図を見ていて X3 という空きパッ ドが気になった。100mil 間隔でパッドが4つ並んでいる。ピンヘッダを 付けて何かに使うのだろうと思っていた。  Arduino は簡単な回路なので自作は容易だ。表面実装部品を使わずとも フツーの部品で片面基板に実装できる。Arduino S3V3 のシリアル部分を 秋月の USB-Seral コンバータ AE-UM232R に置き換えて自作して見た。  基板を作り組み立ててブートローダを書き込んだら一発で動いた。  ここで,またX3が気になった。X3 は USB-Serial コンバータ FT232RL の制御線(CTS DSR DCD RI)に接続されている。FT232RLとAVRの組み合わせ で使うとき制御線を使うアプリケーションでもあるのかな? と思って, FR232RL AVR でGoogle検索した。 そして,すz氏 のサイトがヒットした。 ここから,すべてが始まった。  すz氏 のavrdude-serjtagの記事を見た瞬間「X3を使えばDiecimilaで 外付けAVRライタ無しでブートローダが書けるぞ」と思った。  すぐにavrdude-serjtagをダウンロードしDicimilaのX3にピンヘッダを ハンダ付けして実験したら見事に書き込めた。自作のArduinoでもできる。  世界のどこかで誰か同じことを考えてやっているだろうと検索して見た が誰もいない。そもそも,FT232RLのBitBang用のAVRライタソフトを作った 人は すz氏 しかいない。それで,Webページを作り広報することにした。  まず日本語のページを作った。Arduino は外国で普及しているので英文 ページでなけらば広報にはならないと考えて翻訳サイトを使って日本語ペ ージを英文に変換しテキトーに手直しして公開した。  並行して すz氏 にavrdude-serjtagのミラーリング許可ついてお願いし たところ快く承諾していただけた。  広報のため,Arduino.ccのフォーラムにつたない英語で投稿したら,ブ ラジルの方(Arduino S3V3の設計者)から適切なフォローをいただいた。  フランスの方からうまく書き込めたとフォーラムに投稿があり自分以外 の環境でもうまく書き込めることが確認できた。  さらにブートローダ書き込みのデモビデオを作ってYouTubeにアップする と,米国の方から「Arduino.cc/PlaygoundにWebとYouTubeのリンクを載せ たよ」とメールをいただいた。  ある日,英語版Webページのアクセスログを見るとものすごい数のアクセ スになっていた。何事かとリンク元を見ると,US Make Magazin Blog だっ た。さすがに強い影響力を持つBlogである。  Arduino.ccにある色々なドキュメントを見ていたら「X3の空きパッドは, 誰かが何かの用途に使う時に備えて設けてある」という設計者の言葉を見 た。Arduino NG,Diecimilaの設計者の意図を知って感心した。 このX3パッドがあればこそavrdude-serjtagとDiecimilaを結び付けること ができた。X3とavrdude-serjtagの活用に関与できて本当にうれしい。