二尾氏の真空管増幅器の実測データを使って出力トランスのパラメータを導出して再度シミュレーションした。
二尾氏のトランス単体の測定データ（下図のトランス単体特性グラフ）からSPICEモデルを導出してみた。
SPICEモデルの作成にあたっては，ここのサイト「トランスとSPICEモデル」を参照した。
 実測周波数特性 |
 導出したSPICEモデルの周波数特性 |
導出したSPICEモデル
.SUBCKT T-WADA P B S1 S0
* Primary inductance
L1 P 1 4.5H
* Primary DC resistance
R1 1 B 8
* Primary stray capacitance
CP P B 0.09n
* Secondary inductance
L2 S1 2 11mH
* Secondary DC resistance
R2 2 S0 0.2
* coupling factor
K L1 L2 0.99
.ENDS
ｆ 特性の低域に大きく影響をあたえるのが，１次巻線のインダクタンス(L1)である。
高域へ影響は１次コイルと２次コイル間の結合度(K)と１次側の静電容量(CP)である。
この３つのパラメータを調整して実測データに近づけた。
このトランスを使って二尾氏設計のアンプを再度シミュレーションした。
フィードバック無し |
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シミュレート結果の特性グラフの傾向は二尾氏の実測データとよく似ている。
シミュレーションして特性グラフを表示して驚いた。ちゃんと，ゲインのピークが100kHz付近に出ている。
これを「高域特性が暴れる」と言うらしい。
ソフトン RW-20出力トランスのページに，
出力トランスの高域特性が悪いとビーム管や５極管等
比較的内部抵抗の高い出力管で駆動した場合、高域
の周波数特性が大きく暴れます。
と書かれている。
確かに「大暴れ」している。
フィードバックあり |
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シミュレーション結果は二尾氏の実測データと全く異なる。
低域では負帰還がかかって特性改善されているが，高域では負帰還がかかっていない。
シミュレート回路の特性を実測データに近づけることはなかなか困難な作業だ。フィードバック回路は位相特性がかなり効いてくるから，トランスの位相特性も実機とマッチさなければならないと思う。トランスの位相特性は何で決まるか全く知識が無い。サイトを探れば何かヒットするだろうが，もう疲れたので小休止。 フィードバック無しモデルが実機とほぼ合致したので良しとしよう。
フィードバック無しの回路だと，ほぼ実機＝シミュレート回路である。
ここから先が「面白苦しい」作業になる。
持てる知識を総動員してシミュレート回路で改善策を探り最適解を出す。
そして，実機で確かめる。
この「面白苦しい」作業は，設計・製作者の二尾氏におまかせしよう。 お楽しみはこれからだ．．．．．．