1.はじめに
GerberPanelizer フリーで提供されている基板の面付けツールです。
ここでは GerberPanelizer を用いて単体基板をスリット(ミシン目)で切り分ける面付け基板を作成します。図1
2.GerberPanelizerの入手 / インストール
- GitHub の GerberTools の releases ページから入手します。
https://github.com/ThisIsNotRocketScience/GerberTools/releases
最新版は2019.06.12現在 GerberTools_2018_8_10.zip - GerberTools_2018_8_10.zip を解凍するとGerberTools_2018_8_10フォルダが生成されますので適当な場所に移動・保存します。
- GerberTools_2018_8_10フォルダ配下にPanelizerフォルダがあり,この中に目的のツール
GerberPanelizer.exeが収容されています。図2
3a.単体基板のガーバーデータの準備(KiCad)
- 単体基板のガーバーデータ,ドリルデータを用意します。
ここではデスクトップ上の「tutorial1-gerber」フォルダにKiCadが吐いた外形25mm☓25mmの単体基板ガーバーデータを収容します。 - FusionPCBの「KiCadからガーバーファイルを出力する方法」のドキュメントに沿ってガーバー出力します。
- GerberPnelizerはガーバーデータの種別をファイルの拡張子で識別します。
KiCadが吐いたファイルのうちドリルデータ:拡張子.drl,基板外形データ:拡張子.gm1はGerberPanelizerでは識別できないので拡張子を変更します。図3a
(a) tutorial1.drl → tutorial1.txt
(b) tutorial1-Edge_Cuts.gm1 → tutorial1-Edge_Cuts.gko
3b.単体基板のガーバーデータの準備(EAGLE)
- 単体基板のガーバーデータ,ドリルデータを用意します。
ここではデスクトップ上の「tutorial1-gerber」フォルダにEAGLEが吐いた外形25mm☓25mmの単体基板ガーバーデータを収容します。 - FusionPCBのcamプロセッサーを用いてガーバー出力します。
FusinPCB camプロセッサー:https://www.seeedstudio.com/document/rar/ に収容されている Seeed_Gerber_Generater_2-layer.rar を使用。 - GerberPnelizerはガーバーデータの種別をファイルの拡張子で識別します。
.GML は使用しないので tutorial1.GML を削除します。
3c.単体基板のガーバーデータの準備(DesignSpark-PCB)
- 単体基板のガーバーデータ,ドリルデータを用意します。
ここではデスクトップ上の「tutorial1-gerber」フォルダにDesignSpark-PCBが吐いた外形25mm☓25mmの単体基板ガーバーデータを収容します。 - FusionPCBの「DesignSparkからガーバーファイルを出力する方法」のドキュメントに沿ってガーバー出力しますが
重要:NC Drillデータは Output in Metric units(mm) にチェックを入れて出力します。図3c-1 - GerberPanelizerはガーバーデータファイルの拡張子よってデータの種別を識別しますので図3cのように拡張子を変更します。また,図3c-2以外のファイルは使用しないので削除します。
3d.単体基板のガーバーデータの準備(Fritzing)
- 単体基板のガーバーデータ,ドリルデータを用意します。
ここではデスクトップ上の「tutorial1-gerber」フォルダにFritzingが吐いた外形25mm☓25mmの単体基板ガーバーデータを収容します。 - GerberPanelizerは使用するガーバーデータファイルの拡張子が指定されています。また,ガーバーデータでないファイルがあった場合エラーが発生して面付け作業ができません。
基板外形データファイルの拡張子を.gm1から.gkoに変更します。図3d
不要なデータファイル tutorial1_pnp.txt を削除します。図3d
4.面付け
- GerberPanelizer.exeを起動します。
- メニューバー「Files」→「New」と進みます。
- 面付け方眼が表示されます。デフォルトのサイズは100mm☓100mmです。
サイズを変更する場合はメニューバー「Panel Properties」をクリックして表示されるダイアログでX,Yサイズの値を変更します。ここではデフォルトの100☓100サイズで面付けを行います。 - 単体基板の製造データを収容している 「tutorial1-gerber」フォルダを面付け方眼にドラッグ・アンド・ドロップします。図4
- 単体基板の外形が現れるのでドラッグして移動させます。図4
- このとき右ペインのX,Y欄には基板外形の左下の基準マーカー(+)の座標が表示されます。図4
- 面付け方眼の上で右クリックして「Add Instance 」→「…tutorial1-gerber」と進みます。図5
- 単体基板外形が現れるので先に配置した基板外形と2mmの間隔で並べます。(面付け方眼の1目盛==1mm)この間隔が基板を切り分けるためのスリットになります。図5
- 7~8を繰り返して単体基板をタテ・ヨコに並べます。
ここでは,100mm☓100mmサイズに収まるよう3行3列で面付けします。
- 単体基板間のスリットの中央付近にマウスポインタをあわせ右クリックし表示されるメニューの「Add Breaktab」をクリックします。図6
- 単体基板を連結する「ブレークタブ」が設けられます。ブレークタブはドラッグでスリットに沿って移動させることができます。
- すべての単体基板が連結されるようにブレークタブを配置します。
- ブレークタブには「MouseBites」という単体基板を切り離しやすくする「ミシン目」が付いています。「Panel Properties」で「MouseBites」を生成するかしないかを選択することができます。
5.面付け基板製造テータ出力
- 面付け基板ガーバーデータ保存フォルダ作成
デスクトップにフォルダ tutorial1-3×3-slit を新規作成します。 - 面付けデータファイルの保存
メニューバー「Files」→「Save As」と進み tutorial1-3×3-slit フォルダ配下に
ファイル名 tutorial1-3×3.gerberset で保存します。 - ガーバー出力
メニューバー「File」→「Export Merged Gerbers」と進みます。 図7 - フォルダ選択
「フォルダー参照」ダイアログが開くので tutorial1-3×3-slitを選択します。図7 - 出力実行
「OK」ボタンをクリックしてガーバーデータファイルを生成します。図7
- ガーバーデータファイルの生成が終わると,面付け基板のTop面とBottom面の画像が表示されます。図8
- tutorial1-3×3-slitフォルダを開くと combined.* ファイルとpng画像ファイルが生成されているのが確認できます。図9
7.確認
- tutorial1-3×3-slit フォルダ配下の combined.* ファイル(上図9の赤枠で囲んだファイル)を zip に固め基板発注用ファイル combined.zip を生成します。
- 基板発注用ファイル combined.zip をFusion-PCB にアップロードしTop面 や Bottom面 のデータを確認します。図10
8.参考・GerberPanelizerのエラー他
- エラーを生じた場合,例外処理発生ダイアログが開いたり,処理がフリーズしたり,いきなり落ちたりします。
- エラーの原因を分かりやすく解説表示しないのでダイアログのメッセージからエラーの原因を読み取る(類推する)必要があります。
原因としては拡張子の誤り,データ・フォーマットの誤り,対象のフォルダが存在しない などがあります。 - フリーズしたり,いきなり落ちるのはビデオカード・ドライバとの相性のようです。
Githubのissueに解決策が掲載されているかも知れません。 - mac + VirtualBox + windows10 で動作検証しています。
グラフィックコントローラに VboxSVGAを使用し3Dと2Dのアクセラレーションを無効にするとうまく動作します。
基板CAD(KiCad, EAGLE, DesinSpark-PCB, Fritzing)の詳細については
入門実習テキスト「Basics」シリーズ
をご覧ください。