Phase 1 (2014.07.28 〜 2014.08.31)
円が強い頃は Raspberry Pi は3000円未満で購入でききた。その頃に「Raspberry Piを大量に積み重ねて動かせば何か面白いことができそう」と考えて14個購入した。それまでに2個持っていたので合計で16個。しかし,購入はしたものの放置して,文字通りの「積マイコン」になっていた。 Ogaki Mini Maker Faire 出展を機会に、このRaspberry Pi群で作品を作ることにした。Raspberry Pi 並列マシンは先行事例があるので、それを真似て並列マシンを構築した。 「量は質を変える」と言うが非力なマイコンでも数が揃うと意外とパワーがある。台数が揃わないとできないこともある。
Raspberry-Pi 16ノードでクラスタマシンを製作した。

Raspberry Pi 16nodes cluster
メーキングビデオ
円周率を計算
先行事例にならって並列計算処理で円周率を求めてみた。並列処理は定番のMPIを使用した。

Raspberry Piでπを求める
バレットタイム撮影システム
1ノードづつにUSBカメラを接続して同時撮影すれば視点がグルっと回るバレットライム撮影(Matrixのアレ)ができるのではないかと考えて作りOgaki Mini Maker Faire(2014.08.23-24))に出展した。ただし,このときはコンセプトモデルの域を出ず,実際のバレットタイム撮影〜再生をする段階には至っていない。

bulette time system test
バレットタイム撮影を実施
Ogaki Mini Maker Faireの展示で多くの方から「次は,ぜひ動いているのを見たい」とリクエストされた。夏休み期間中,空いている勤務校の美術室を借りてバレットタイム撮影実験をしながらハード,ソフトを煮詰めて行った。

bulette test
ご覧になってわかるとおり,カメラ16台で半周撮るとカクカクするのは否めない。
Phase 2 (2014.09.01 〜 2015.03.25)
MFT2014に向けてRaspberry Pi 32ノード,USBカメラ32台にスケールアップすることにした。
32ノード製作

Raspberry Pi cluster 32nodes

Software setup
32台用カメラマウントを製作

camera mout
デモ・ビデオ
システム全体図
半円のカメラマウンタが大きくUSBカメラのケーブルが届かないため,Rasberry Pi Cluster を8ノード毎4分割して配置した。
Maker Faire Tokyo 2014 には,このフルサイズ版のシステムを展示できないので,展示机サイズに円弧を縮小したカメラマウンタを製作した。

system view
Maker Faire Tokyo 2014 (2014.11.23-24)
実験室では完璧に動いているシステムだが,MFT2014会場にセットしたら数ノードが画像キャプチャに失敗する。このトラブルは特定のノードではなくランダムに発生する。撮影タイミングをずらしたり色々対策したがトラブルを解決できず不完全な動態展示となった。各ブースが電力を使いはじめると,ほとんどのノードがキャプチャに失敗するようになった。展示1日目が終わり各ブースが電力消費を止めるとトラブルは激減した。AC100の電圧変動がこの不具合の原因と考えられた。MFT2014でも,多くの人から「ぜひ,動態展示が見たいガンバッテください」と励ましをいただいた。AC100VをUPSを介して供給すればこのトラブルは解決するのでは無いかと考える。
NT京都2015で動態展示 (2015.03.22)
フルサイズのシステムを動態展示した。安定したAC100Vが供給されたようで,特にUPSなどは用いなかったがシステムは完璧に動いた。

NT-Kyoto 2015
Phase 3 (2015.03.26 〜 )
娘の夫lukeから「こんなのあるよ」と米国オークリッジ国立研究所のTiny Titan プロジェクトの紹介があった。 プロジェクトの前文に Tiny Titan is a sub-$1,000 classroom supercomputer designed to teach aspiring scientists the basics of parallel computing. とある。 Tiniy Tian は並列コンピューティングの基礎を学習するための1000ドル未満の教育用スーパーコンピュータだそうだ。 多分,このプロジェクトの成果は高校や一般入門者向けの講座にも取り入れることは可能だろうと思う。
このプロジェクトに大いに刺激された。並列コンピュータシステムは先行事例をトレースすれば簡単に構成できる。Raspberry Piや Beagle Bone Black, Intel Edison を使えば安価に構成できる。学校であればパソコン教室のパソコンを束ねた並列コンピューティングも可能だ。コンピュータ環境は揃っている。「キモ」はカリキュラムだ「並列コンピューティングの何をどう『おもしろく』教えるか」だ。
Phase 3 ではRaspberry Pi supercomputer の教育利用にアプローチする。