1. TwitterでKiCad回路図の三端子レギュレータ周りで発生したERCエラーをどう解決するか知りたいとのtweetを見た。
    回路図とERCエラーは図1のとおり。

    図1

  2. ERCエラーの原因と解決策
    1. 78L05 3番ピン(OUT)の重大なエラー
      1. VCC端子にPWR_FLAGが付けられているのが原因
      2. VCC端子は電源入力属性(図2)を持っているので電源出力属性のピンと接続する必要がある

        図2

        ピン属性を見るには,回路図上のシンボルにマウスポインタを合わせショートカットCTRL+Eを入力するとシンボルエディタが開くので,目的のピンにマウスポインタをあわせてショートカットEでピンのプロパティを開く。

      3. この回路のVCCには78L05の3番ピン(OUT)とPWR_FLAGが接続されている
      4. 図3,4のとおり78L05の3番ピン(OUT)とPWR_FLAGはともに電源出力の属性を持っている

        図3

        図4

      5. これがそれぞれVCCピンに接続されているので電源出力属性ピン同士が衝突(短絡)し重大なERCエラーとなる。
      6. 解決策:PWR_FLAGを削除し78L05の3番ピン(OUT)のみをVCCに接続すればよい。
    2. 78L05 1番ピン(IN)のエラー
      1. 78L05 1番ピン(IN)に電源出力属性ピンが接続されていないのが原因
      2. 78L05 1番ピン(IN)の属性は電源入力である。図5

        図5

      3. 78L05 1番ピンに接続されているダイオード,コンデンサのピンの属性はパッシブである。図6,7

        図6

        図7

      4. このように78L05 1番ピン(IN)を駆動するための電源出力属性のピンが接続されていないのでERCエラーとなる。
      5. 解決策:78L05 1番ピン(IN)に電源出力属性ピンPWR_FLAGを接続すればよい。
  3. 解決策を施した回路

    図8

  4. ERCエラーの許容
    ERCエラーはプログラムのコンパイルエラーとは異なり設計者が許容できるのもは無視してよい。例えば78L05 1番ピン(IN)のERCエラーは許容してPWR_FLAGを接続しなくともよい。ただし,ERCエラーを許容した場合は図9のように設計者の意図であることを明示しておきたい。

    図9

参考

下記のKiCad 5.0 の自習用実習テキストを有償頒布しています。
KiCad 5.0の操作習熟にご利用ください。

#マッハ新書 最もわかりやすい(自画自賛)KiCad入門実習テキスト「KiCad Basics for 5.0」

Follow me!